第30話
『なんだ?電話くれたか?』
そう言ったお兄ちゃん。
「あの·····、今日·····、侑李のとこ行ってくれない?」
『今日?お前は?』
はあ·····と、熱い息をだす。
お兄ちゃんの声が、とても遠く感じる。
「風邪ひいたみたいだから·····」
『あー、分かった。熱あんのか?』
「うん·····」
『高ぇの?』
分からない·····。
確実に上がった気はする。
もう喋るのも辛い··········。
『密葉?』
私はまた気を失った。
遠くから、お兄ちゃんの声が聞こえた。
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