第31話
チームの一員だから…。
そうは言っても、唯一私を助けてくれるこの人が本当に神様に見えて。
目つきも凄く悪いのに、「ゆう、り、さん」と呼ぶ私に顔を顰める。
「もうしばらく辛抱しろ、俺が晴陽にも言うから。その間あの三匹好きだって言っとけ、流雨はお前で遊ぶことはまずないし、他の奴らにも手は出させない」
ザリガニを好きだと言えば?
流雨は私を便器にしない、私で遊ぶことは無い。さっきのようにキスをしてくるだけ。
流雨に好かれている私は…、他の人から手も…。
「はるひ、って」
「髪がグレーっぽい男だ」
それは、わかる、私の処女を奪った人。
「なにを、いうの、」
「解放してやれって」
「…」
「悪いな…総長の言葉は絶対なんだよ」
晴陽という私の処女を奪った人が総長らしく。その人の言葉は絶対…。
「いつ…解放してくれるの…」
「早ければ1週間、けど」
けど? けど、何?
「いいか? 絶対流雨の女になるな、なればお前はもう二度と逃げられない、よく覚えとけ」
流雨の彼女…?
そんなの、絶対ならないのに…。
逃げられないってどうして……──
「飯買ってくるから、何かあれば外にいる霧島に…」
買ってくる?
私のご飯を?
、そ、そんなの、いらない、から。
必死に私は、その人の服を掴む。
私に何かと教えてくれる、味方になってくれるユウリは、服を掴まれた事にびっくりした様子だったけど。
「い、いかないで、…ここにいて…」
その人がどこにもいかないよいに、ずっと服を握った。怖いけど神様のようなその人は、ふ…、とため息をつき。
「お前、勘違いすんなよ?」
ゆっくりそれを、低くして言う。
「別にお前のためじゃなくて、俺がそういう光景を見たくないからだ。胸糞悪い気分になりたくねぇから」
「ゆう、」
「俺は別にお前を助けてる訳じゃない」
「……」
「俺だってお前を閉じこめてる1人だ」
「…」
「味方ならとっくに外に出してる」
「…」
「優しくされただけで勘違いしてんじゃねぇよ」
「……でも、あなたは、守ってくれてる…」
「お前、結構アタマ悪いんだな」
柚李という男はそう言うと、彼の服を掴んでいる私の指を無理やり剥がし。
「俺以外にも優しくされれば、お前はそいつに対しても味方だって思うだろ? 絶対、それは思うな。俺以外の連中は頭おかしいって思っとけ。信用するな、霧島も御幸も流雨も、晴陽も」
「…」
「ここにいる限り、お前は誰も信用するな」
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