第28話

ナナには恩がある。

一生、返せない程の恩が。

俺はナナが好きだ、本当にかけがえのない親友だと思ってる。



──昔の事を思い出しながら、流雨と女──…月って呼ばれてたやつのキスを見ていた時、「どういう状況?」と目を細めたナナが戻ってきた。



俺の大好きなナナ──…。



2人の姿を見て険しい顔をし、その2人を止めるナナに流雨が殴ろうとして。


そんな流雨を殺したくなり1歩踏み出そうとした時、「流雨」と晴陽がとめた。


晴陽が流雨の扱いが上手いのか、それとも流雨は晴陽の言うことしかきかないからか。











「酷い扱いじゃなくても、苦しそうだったろ。お前も助けてやれ、怖がってるの分かるだろ…」


「ナナがそう言うなら…」


「1週間後に彼女だって? アイツ自分の女にするつもりなのか…」


「…そう言ってる」



ナナに呼び出され、月という女を「助けてやれ」と言ってくるナナに、少しだけ苛立った…。



なんで…ナナは…。



「…なあ、ナナ、なんでそこまで庇う?ナナと女は関係無いだろう?」


「霧島」


「優しくして何がある?」


「それ…本気で言ってんのか」




本気で言ってるのか?




「…お前は…、泣いてる女を見て何とも思わないのか…」




そう言ったナナは、女がいる部屋に戻った。


ナナの後ろ姿は、小学生の時と変わらない。





なあ、俺はナナの為に言ってるんだよ──…


俺は全部、ナナの為に…。




ナナが全てなんだから。



俺よりも女を選ばないでよ。

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