kirishima side
第27話
──霧島side
──火が、あがる。
黒い煙が出ていた。
その黒い煙は、止まらない。
「俺のじいちゃんが言ってた。知られたくないものは燃やすか、燃やせないものなら海に捨てろって」
ナナがそう言い、俺は視線を下に向ける。
「お前は悪くない」
そんなナナも、黒い煙を見つめていた。
黒い煙は、空へ上がっていく。
「雨、ふりそうだな」
その煙の先、空を見てそう呟いたナナにつられて俺も空を見あげた。
──…曇り空…
「俺、こういう天気嫌い…」
ぽつりと呟けば、ナナの黒い目がこっちに向くのが気配で分かった。
「なんで?」
「傘、持ち歩けばいいか分からないから」
「確かにな」
「雨ふるかも、ってハラハラしたくない」
「俺は好きだけどな、こういう天気」
「…」
「俺は雨が好きだから」
そんなナナは、ランドセルを持つと、「行こう霧島」と、その黒煙が浮かぶ赤い火に背を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます