kirishima side

第27話

──霧島side









──火が、あがる。


黒い煙が出ていた。


その黒い煙は、止まらない。






「俺のじいちゃんが言ってた。知られたくないものは燃やすか、燃やせないものなら海に捨てろって」


ナナがそう言い、俺は視線を下に向ける。






「お前は悪くない」


そんなナナも、黒い煙を見つめていた。

黒い煙は、空へ上がっていく。





「雨、ふりそうだな」


その煙の先、空を見てそう呟いたナナにつられて俺も空を見あげた。



──…曇り空…




「俺、こういう天気嫌い…」


ぽつりと呟けば、ナナの黒い目がこっちに向くのが気配で分かった。




「なんで?」


「傘、持ち歩けばいいか分からないから」


「確かにな」


「雨ふるかも、ってハラハラしたくない」


「俺は好きだけどな、こういう天気」


「…」


「俺は雨が好きだから」




そんなナナは、ランドセルを持つと、「行こう霧島」と、その黒煙が浮かぶ赤い火に背を向けた。

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