第32話

……マユ。




話が終わったのかケイシが中に入ってきた。そんなケイシは言う。



「お前、俺と結婚すんだってさ。おめでと」



それは他人事のように。

というより棒読みで…。



髪に違和感がして、ケイシに触られてるのが分かり。


黙り込んでいると、軽くケイシがため息をつく。



「……歪な髪………、な、」



歪…。


ぐしゃぐしゃ髪って事なんだろうか。


どちらかというと、私はストレートだった。


けれども自分で切ったりはしていた。



「お前は、2000万で〝代わりの女〟になるらしい」



代わりの女?

なんの?

だれの?


ケイシの手が、前髪をさする気配がする。



「……飯は何がいい?」


「…え?」


「好きなもん持ってきてやる」



好きなもの…。

どうして突然。


そう思ってケイシがいるである方を見つめた。



「……あの…」


「そう七渡さんが言ってたからな」



ななわたり…?さっきの人?




「ほんとに最悪だわ……」





そういったケイシは、何かを思い出しているかのように、そんな触り方をしながら私の髪を離した。

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