第30話
「分からない?」
席についた矢島君は、私ではない方向をボー⋯っと見ていて。話を聞いてるか聞いてないか分からない態度。
「自分の将来、決められない?」
「⋯」
「ねぇ、空白のまま出したのは、このままずっと時間が止まればいいのにって、思ったから?」
「⋯」
「卒業したくない?」
「⋯」
それは、私がずっと高校時代思っていたことだった。時間が止まればいい⋯。
ずっと高校生のまま⋯、社会に出たくないと。
矢島君は何も喋らなかった。
何も喋らず⋯、ただ、ボー⋯っとしていて。
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