第32話

「私を火種にしたくないのなら、どうして捕まえたんですか。さっき言いましたよね···上の人間がって···、あの人たちを動かしたみたいなこと···。それってあなたじゃないんですか?」


どう見ても、あの人たちよりも、上の存在の徹。



「俺じゃない」


「え?」


「もう1人のやつだ」



もう1人?



もう1人って···。




その時だった。


ノックもなく、この部屋の扉のノブが、外側から動いた。そのまま扉が開き、誰かが中へと入ってきた。

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