第31話
「頼は⋯いつ、気づいたの? 魁輝じゃないって」
私が逃げたあとならば。
すぐに捕まえに来ていたはず。
でも、それをしなかったのは。
分かっていたから。
私が監禁されている最中に、気づいたんだ。
「勘違いだって、分かってなのに⋯。どうして逃がしてくれなかったのっ!」
ずっとずっと、冷たい態度を取っていた頼。
見つけ出して殺すって。
言ってきたのに。
「あいつも、いっぱいいっぱいだったんだろう」
「⋯え?」
「ずっと復讐のために、人生を潰して。陽向を監禁した。それなのに、急に⋯勘違いでしたって言われても、そう簡単に受け入れるはずがない」
人生を潰して、私を監禁した。
警察に捕まるほどの、犯罪。
そう簡単に、受け入れるはずがない。
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