第5話

申し訳なさそうに笑った海吏は、「ごめん」と私を見下ろしてくる。


自身を引き抜き、使用済みのそれをゴミ箱に捨てた。




そのまま私に抱きつくように項垂れた海吏。



そんな海吏はピクリとも動かなくて。



いつ海吏のそばを離れるか分からない私を、海吏はたまに不安がる。



離れないのに⋯。そう思いながら海吏を抱きしめた。



「重いよ」と言えば、「ひなよりマシ」と言われる。



「ぜ、ぜったい海吏のほうが重いよ」


「ひな太ったやろ」


「太ってないっ⋯」


「ほんま? 」


「⋯⋯もう、ほんと意地悪⋯」


「ひなの体、分かりやすい」


「ねぇ、ほんとに重いから」





「⋯―――まま?」



魁輝と言い合いっていると、私のことを呼ぶ可愛い可愛い声が、聞こえてきた。



薄暗い部屋で何かが、動く。

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