俺のもの

第33話

私はリーダーの命令を優先する。もちろん仲間を裏切ることなんて当たり前。そう思ってたのに…なのに、なのになんで。



――こんなにも苦しいのだろうか。



人を裏切ることは容易い。人を信頼して協力して何かを成しえるより、最終的に裏切ることによって得る利益のほうが大きいからだ。

つまり、利益を分け合うか独占するかの違い。


この暗黒街では、絶対的後者だ。利益の大きさですべてが決まる。

小さいころからずっと教えられてきたものだ。


もちろん暗黒街育ちの私は裏切ることなんて当然のこと。裏切りが間違いなんて思うわけもなかった。

だから偽りの自分を作り上げ、たくさんの人を騙し続けてきた。

暗黒街のやつらなんて騙されて当然なやつしかいないから。



リーダーの命令に従ったのは、彼に会いたかったから。

いなくなってしまった彼を探し出すためだった。


そのために作り出した闇來もいつの間にか、大切になっていた。

捨てられないものになった。幹部のやつらも仲間として大事な存在になっていたんだ。


そのことに気付いたのが今なんて、遅すぎる。もう手遅れだ。

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