第32話
「何言ってんだよ、律」
ありえない、バレることなんてあるはずないのに。まさか隠し部屋がバレた?いや…こんな短期間でバレるわけない。
「嘘つくなよ、蓮から全部聞いた」
「なんでそこで蓮が出てくるんだよ」
蓮に私が女だって言った記憶はないし、言うはずがない。
「蓮が黒狼側なんだよ、つまり僕らの裏切り者は蓮だ」
裏切り、もの…?蓮が?
「まぁ、僕たちは薫にも裏切られてたのかな」
え…?
私の言葉を遮るように律は話続ける。
「僕たちに何も言わないでさ。騙してても平気だったんだね。むしろうれしかった?僕たちが気づかないこと」
律は私のほうを見て何かつぶやくと、そのまま立ち去って行った。
「—―裏切者」
律の口は確かにそう動いていた。
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