第31話

一階は特に使用された痕跡もなく、蛍光灯が壊れかけで薄暗いからなんか不気味。


部屋も誰もいないかぁ。なら次一番可能性のある地下に行こうか。



カンカンカンカン…



階段が鉄製なのか冷たい金属の音が響く。


階段を下りた先には鉄製の扉があった。


中の様子は…さすがに見れないか。

人の気配は感じられないけど、とりあえず入ってみないとね。



ガチャ



「ッ…‼」



バンッッ



扉を開けた途端、突然誰かが足蹴りを食らわせようとしてきた。

蹴りからして相当強いな。一体何者?



「この蹴りを避けるとは…流石だね薫」



…黒狼の総長、柊怜央。


どうやら私に攻撃してきたのは総長サマのようだ。



「律はここにいるよな?解放してもらおうか」



ククッと堪えるようにして笑うと私のほうにさらに一歩近づく。



「俺ね、今凄い気分がいいから幹部くん解放してあげるよ。別に何もしてないから安心して?」



「信用できると思うか?」



「じゃあ今すぐここに呼んできてあげるよ」



柊が幹部に何かを伝えると、しばらくして律が歩いてきた。



「律…‼大丈夫か?」



「僕は大丈夫なんだけど…それより、薫。お前女なの?」



「…は?」



私の顔を見て柊は静かに笑いをこぼした。

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