第28話

どうやら総長たちは二限目からくるらしく、一限目が終わると女子たちがそわそわしだした。


ガラガラ



ついに来た。


教室の前から来たのは、おそらく総長であろう黒髪マッシュの男だった。その後ろは、クリーム色っぽい髪に染めた身長は少し低めの男…。

柊怜央と天野瀬詩音で間違いないだろう。



「おー、やっと来たか詩音。怜央さんもお久しぶりです」



「…久しぶりだね。朔」



「僕学校嫌いなんだよねー、今すぐ帰りたーい」



席は、まぁ愁のおかげで近いね。接触チャンスはあるけど、今闇來の総長ってバレたくはないからなぁ。ある程度の注意は払っておこう。



「で、九条香澄はどこなわけ?僕その子と話してみたくて仕方なーく学校に来たんだけど」



私…?朔が話したのかな



「はい…。私ですけど」



私が声を上げると、すぐに近寄ってきた。



「おー!確かに顔面偏差値高いね。モデルさんみたーい」



「あ、ありがと…」



近くで見ると中性的な顔立ちだな。律とそっくりな雰囲気がある。



「いきなり近づきすぎだ、詩音」



私の顔を近距離で見ている天野瀬詩音を朔が離しながら、「悪い、こんな奴なんだ」と謝ってきた。



ふと、教室を見渡すと柊怜央と目が合った。

柊怜央は私と目が合うと少し微笑んで目をそらした。


ゾワッ


あいつの微笑み、目が笑ってない。私なんかどーでもいいとでも言うような冷たい目つきだった。

まるで、「お前なんかいつでも殺せるんだぞ」とでも言うような微笑み。



あいつの微笑みが脳裏に焼き付いて離れなかった。

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