第8話

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居間を出て行く暁の背中を睨みながら親指の爪を噛んだ。


あの女、絶対に貝塚に引き渡してやる。


どんなに嫌がらせしても、私に屈しなかった暁。



無愛想でぶっきらぼうなのに、学校でも皆に好かれて、イケすかない女だった。


ちょっと綺麗な顔してるからってイイ気になってるのも気に食わない。



成績が良いことも、運動神経が良いことも、ムカつくのよ。



私に無いものばかり持っていて、あの子の周りには沢山人が集まって。


本当、ムカつくのよ。



ずっとずっと比べられて悔しかった。



私の好きになる人は皆暁を好きになった。



同じ中高に通って、私がどれだけ惨めな思いをしたか...。



母親の世話をしたいと大学に行くのを止めて、病院の近くのカフェでバイトを始めた暁。



ようやく大学では離れて落ち着いたと思ったのに、私の好きだった先輩がたまたま立ち寄ったカフェで見た暁を好きになった。



ほんと、信じらんない。


マジで、信じらんない。



あの女、目障りなのよ。




「ママ、何としても暁を貝塚に引き渡して。逃げられないように監禁してでもね」


憎悪の炎を燃やした瞳でママに念押しする。



「当たり前よ。貝塚さんにあの子を嫁に差し出せばうちの会社は安泰するの。きちんと駒になってもらうわ。あんな子にはそれ以外使い道なんてないもの」


悪代官みたいに笑うママ。


こう言う時のママは、悪巧みしてる証拠。



「私達の生活の為に犠牲になってもらわなきゃね。あの子とあの子の母親の持ってる財産も根こそぎ貰わなきゃ割りに合わないわよ」


「ええ、そうね。そうしましょう」


ママと微笑み合う。



あの子が油断した所を捕まえなきゃ。



「明日の朝、あの子がカフェに向かう所を拉致するわ。だから、感づかれないように今日一日、気を付けてね、ママ」


フフフ...フフフ、お友達の彼らに頼みましょう。



報酬はあの子の体。



弄んでから、貝塚に引き渡せば良いもの。




私はスマホで目的の相手を呼び出す。



彼らに頼めば、事は上手く行く。




楽しいわね。


暁がグチャグチャにされる日が来るなんて。




「フフフ...アハハ、暁なんて醜く汚れてしまえば良いのよ。ね?ママ」


「ええ、そうね。可愛い泉ちゃんを困らせた暁なんて汚れて当然ね」


二人で笑い合う。



明日の夜には暁が、男達に汚されてしまうのを想像して。










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泉side

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