第9話
どれぐらいそうしていたんだろう。
気付いたら、夕日は沈みきって周囲は暗闇に包まれていた。
側にあった公園の街灯が、いつの間にか灯っていた。
「あ、ぼんやりしすぎた、そろそろ帰りますか」
治安がそんなに悪くないとは言え、夜の公園にいつまでも居るのはよろしくない。
早々に退散するか。
ブラブラさせていた足の反動を利用してジャングルジムから飛び降りる。
上手く膝を曲げて衝撃を最小限にした。
両足で地面につくと、ちょっとだけふらついたが問題ない。
さぁ、帰ろ。
置きっぱなしになってた買い物袋を掴んで歩き出そうとした。
その時、聞こえてきた足音に動きを止めた。
引き摺るような足音は一つ。
公園の砂利を踏み締める様に園内へと入ってくる。
音のする方に目を向けると、よろよろとした人影が見えた。
不味いな。
面倒な相手じゃないと良いんだけど。
息を潜めて人影を見つめる。
覚束ない足取りのその人は背丈とシルエットで男性だと言うのは分かった。
どうやら、私の居るジャングルジムとは反対側にあるベンチを目指してるらしかった。
ジャリジャリ・・・と暗い公園に響く足音。
かなり不気味なんですけど。
それでも、私が動かないのは、今動く事が得策じゃないように思えたから。
足を引きずるようにしてベンチに向かう人影。
このまま、私に気付かないまま向こうにいってくれれば、それでいい。
変質者じゃないこと願いながら、人影の動向を見守る。
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