第31話
「キングの取り巻きの綺麗なお姉さん達に頼む事は出来ないんですか?」
「ええ、出来ません。遊び相手から同伴者を選んで、自分が本命だという妙な誤解をさせるのも、それが広まるのも困りますからね」
「えぇ〜」
「その点、市原さんなら誤解もせず、周囲の認識もキングの受付係として認知されていますし、問題がありません」
三村さんは淡々と説明してくれる。
そう言われたら、そうだと思うけど。
キングなんかと同伴者したら、親の敵みたいに女性陣に睨まれるじゃないですか。
ノミの心臓の私が、それに耐えられると思っているかな。
「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だからね。俺がついてるし」
自分の胸をポンと叩いてみせたキングに、さらに不安になったのは何故だろうか。
「秘書として俺も行きますから、フォローはします。5つ星ホテルでのパーティーなので普段食べ慣れてない美味しい物を食べに行くとでも思っておけばいいでしょう」
5つ星ホテル、それは見たことのない料理が出てきそう。
食べ物に釣られて気持ちが浮上した私は、かなり単純だと思う。
「···分かりました」
何を言っても状況が変わらないなら、美味しい食事を目当てに頑張ろう。
「ドレスなどはこちらで揃えますので、サイズを後ほど教えてください」
「了解です」
用意してくれるならありがたい。
正直、何を着たらいいのか分かんないし。
「着飾った瞳依ちゃんのエスコート出来るなんて役得。楽しみだね」
ウキウキした顔でそう言うキングとは裏腹に、私の顔は浮かないままだったと思う。
楽しみなのは、きっとキングだけだ。
大人しく騒がず、料理だけを堪能しようと誓ったのは言うまでもない。
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