第31話
次の日、私は学校を休んだ。
昼から「大丈夫か?」と家にお見舞いに来てくれたのは、穂高だった。
私の部屋の中に入ってきた穂高の拳は、赤くなっていた。それだけじゃない。頬も、体のどこかに傷があった。
「怪我…、どうしたの?」
そう聞けば、「お前がやられたマンション行ってきた」と、簡単に告げられ…。
とあるスマホを差し出してきた穂高は「削除しといたから」と、私が襲われている時の動画を消したらしくて。
その事に涙が込み上げる私は、目元をおさえた。
私を襲った男のスマホだろう…。
「…ケンカしたの…?」
「3人しかいなかったからな」
3人…。
私は1人でも…無理だったのに…。
しかも年上なんて…。
「なんだかんだ、…いつも助けてくれるのは穂高だね……」
私がそう言うと、穂高は私が受け取らなかったスマホを自身のポケットの中に戻した。
「わたし…襲われた時、男が手を離した隙に逃げたの…。助けを呼ぼうとして…、やまとに連絡したんだ……」
「……」
「…繋がらなかったけど…」
「……」
「そしたら、男たちに待受画面見られて…。私…、待受画面倭だったから…。それ見て男が穂高と付き合ってるくせに…って、面白がって…酷くなった…」
「……」
「自業自得だね、ほんと…穂高に言われてたのに……」
ポロポロと涙を流すと、顔を顰めた穂高。
「……それ、俺のせいだわ…。あのマンションの住民…、兄貴と敵対してるところだったから…」
「…敵対?」
「…今の清光には、3つ派閥があってな。兄貴と、
「…」
「お前を襲ったのは将輝派」
「……」
「ちなみに今、倭がいるのは俺の兄貴のところ。…倭が敵対してるあのマンションに通ってた理由は分かんねぇけど」
「……」
「…どうする?」
どうするって……。
「警察行くか?」
警察……。
「それともまだ、倭とは縁切れねぇって言うつもり?」
倭と……。
「……お前やられて、もう後戻り出来ないところまで来てるのは分かってる…。…つか、俺がやり返した時点で、清光の誰かが俺のところに来ると思う」
「…穂高…」
「お前がマジで縁切りたいっつーなら、警察に行け」
「…」
「…まだいくらでも廻される覚悟あるなら、首突っ込む気があるなら、俺も手伝う。今回やられたのはお前の馬鹿さもあるけど、半分は俺のせいだから」
「…」
「俺が黛派に入って、バカな考え持ってる倭を抜けさす。今のあいつは誰の言葉も聞かないからな。同じ土俵に立てば嫌でも関わるようになる」
穂高が、黛派…?
でも、それって…。
「そ、そんなの、…穂高が清光に入るってことじゃ…」
「そうだな」
「だめだよっ…」
「あんまりいい考えじゃねぇわな」
「ほだかっ…」
笑みを浮かべる穂高は、「結局、」と、ため息をだす。
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