第26話
私は倭を探した。
家にもあまり帰ってない倭は、もちろん私の電話にも出ない。
放課後になれば一旦家に帰って自転車に乗り、危ないけど清光高校の周りも探したりした。
けどやっぱり倭はいない…。
探しても探しても見つからないから、倭の友達の五島に「倭の行きそうなところを教えてほしい」と言ってみた。
五島は「知らない」と言っていたけど、見るからに嘘をついている顔だと分かったから。
何度も何度も聞いた。
多分、ほぼ泣きそうだった。
そしてついに五島は口を開いた。「…教えるだけな、行かない方がいいと思うけど…」と、そのマンションの名前を教えてくれた。
そのマンションは、清光の生徒の家で、清光のたまり場になってるとも教えてくれた。
「俺も1回行ったことあるけど…あそこやばいよ。変な匂いするし…」
「変な匂い?」
「ほら、薬っつーの? 鼻から吸って…」
薬?
鼻から吸う?
まさか、
薬物?
「…倭、そんなところにいるの?」
「多分だけど、俺ビビってもう連絡とってねぇし…」
「何やってるの…」
「俺が言ったこと、誰にも言うなよ」
──連れ戻さなきゃ…
咄嗟に、そう思った…。
レイプが当たり前…
それに薬物なんて…。
もちろん怖かった。
それでも私は倭を〝助けたい〟という気持ちが強かった。
その日の夕方、私は五島が教えてくれたマンションに来た。表札は何も無かった。
ビクビクしながらも、──大好きな倭のためだと、私はそこのインターホンを押した。
凄く凄く長い時間に感じた。
受話器の所ではなく、あっさりと扉が開かれる。私の足はガクガクと震えていた。
倭………。
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