第7話
次の日、私は穂高を探した。倭と同じクラスで私とは別だから。その教室に行っても穂高はいなかった。
倭たちがサボり場として選んでる外のとある場所に行けばサボってるらしい生徒が何人が地面に座っていて。その中には倭はいたけど、穂高はいなく。
「倭」
そのグループに向かって、倭の名前を呼ぶ。
すぐに私の存在に気づいた倭が、友達たちに何か声をかけると地面から立ち上がり私の元へと歩いてくる。
エリ先輩たちは怖いのに、不良の倭は全く怖いとは思わない。
「なに?」
外では余計に、金色の髪が光る。
「あの、穂高来てる?」
私がそう言えば、倭は眉を寄せた。
「晃貴?」
「うん」
「なんだよ、昨日から。晃貴に用事?」
「うん、話があって」
「なんの?」
なんのって言われても。
私のせいで、エリ先輩と付き合ったの?って言えるわけない…。顔を下に向ける私に、倭が何を思ったのか分からない。
「あいつ、2年のところに行くって言ってたけど?」
倭にそう言われて、また罪悪感が芽生えていく。
「…そうなんだ、じゃあまた戻ってきたら連絡くれる?」
「…」
「倭?」
「…いや、内容言ってくれれば伝えるけど」
「あーうん、自分で言う。ごめんねよろしく」
倭に少し微笑んだ後、私は教室に戻った。
学校にいる最中、倭から連絡は来なくて。
その日の夜に倭から電話がかかってきた。
だけど『俺だけど』ってスマホの向こうから聞こえるのは倭の声じゃなく。
『倭から電話借りた、なんか用?』
その声は穂高だった。
スマホを倭から借りたらしい。
「…倭と遊んでるの?」
『まあ、倭、コンビニ行ってる。で、何?』
「なにって…どうしてエリ先輩と…」
始めから本題を出す私に、穂高が笑う。
『こうした方が手っ取り早いだろ』と。
エリ先輩と付き合うことが、何が手っ取り早いのか…。
「私のせい?」
『そうだな』
そうだなって…。
「好きなの?」
『好きなわけねぇだろ、友達のツレ虐めてるやつを好きとかどうなんだよ』
友達のツレ?
ああ、倭の友達…
「じゃあ、やめてよ…。穂高が嫌な思いして付き合うなら、私が部活やめるから」
『ふうん』
「穂高」
『ま、お前のせいでお前のためでもあるけど、別に嫌じゃないし。捨てるわ普通に』
「捨てる?」
何を捨てるの?
穂高は、少しだけ、電話の先で楽しそうに笑っている気がする。
『俺がこれから何をしても別に原田は関係ないし。とりあえずもういいから』
もういいって言われても。
『だから、あんま不安そうな顔するなよ、倭が心配してたからな』
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