第5話

倭が、変わりだしたのは、いつからだろう。











「ねえ、ちょっと来てくれない?」


多分、この日から始まった。私が同じ部活の2年の先輩に、呼び出された日から。


〝調子乗ってる?〟と、怒りや、嫌悪感。そんな表情をする同じ部活である女の先輩3人ほどが、私を囲ったのは。


何が何かさっぱり分からなかった。

私は調子に乗った覚えはないし、どちらかというと1年生だから先輩の言うことを聞いていた。



怖い雰囲気をだす先輩達が怖く、「あ、あの、…、わたし、何かしましたか…」と恐る恐る聞いても鼻で笑われる。




「え?わかんない?」


「この前サボって、男と会ってただろ?」


「練習しなくても上手なわけ?うちらより」



やっぱり分からなかった。

私は部活をサボったことなんてない。

いつもいつも真面目に…。


パニックになる私は、オロオロすることしか出来なくて。その態度が気に触ったのか、1人の先輩が口にした。



「怪我したって言って、男とサボってただろ」と。



それを聞いて、思い出したのは昨日の穂高だった。ただスマホを渡してと頼まれる、そんな会話をしただけなのに。

ただの、数分。

理不尽、だとおもった。



咄嗟に反論しようとしたけど、1人の女の先輩が、足をあげ。私の怪我をしている膝に向かってそこを蹴りあげた。

悲鳴みたいな声を出し、冷や汗をかきながら慌てて疼くまれば、「あー…怪我はホントだったんだ?」とクスクスと笑う声が聞こえ。


涙目で見つめれば、「調子のんなよ、1年のくせに」と、冷たく言われ。もう怖くて反論が出来なかった。




その日から私は2年の先輩に目をつけられた。それもバレないように。私がいる部は、3年生が優しく2年生はキツいとして有名で。



「原田、あんた遅れてるからもう5周追加ね」



3年生が学校行事でいなく、1年2年だけの日。


まだ足を怪我してるから、走りが遅くなるのは当たり前なのに。


遅れてると注意され、「は、い…」と、息切れしながら校舎まわりを1人だけ走る…。



追加分が終わり、激しく呼吸をしていると、「原田遅れてるから筋トレ追加」と、冷たく言われ。



私はもう泣きそうだった。




若葉が「何あれ!」と怒っていた。「私、先生に言いに行く」と。それでも2年生は先生のいないところでする。

若葉が言っても、2年生は「先生がいない時、原田さん、サボるんです…」と、顧問の先生に困ったような顔をする…。



隠れた所での、2年生の嫌がらせはおさまることは無かった。









『お前痩せた?』


家に帰ると、倭から、ラインのメッセージが届いていた。

確かに私は3キロほど体重が落ちていた。

部活で精神的と体力的に疲れ切っていて、最近では倭と遊ぶことも無くて。


『ダイエット中』と返事をする私は、もう部活をやめようかと思っていた。

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