第25話

その後、会計が終わったお母さんが戻ってきて。蛍と喋っている私を見て、すごく驚いた顔をしていた。


それもそうだ。


男にレイプされた事をお母さんは知っているから。男がこの世で1番大っ嫌いな存在になった事を知っているから。


男がいると、私が震え上がることを、知っているから。


そのおかげで、私はまだカウンセリングから抜け出せないのだから。




立ち上がり軽く頭を下げた私に、蛍は枯れた声で「またな」と言う。



その返事が出来なかった私は、頭を軽く下げるだけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る