第29話

あたしはその髪の毛を魔法士たるリリ嬢へ。



治してくれると信じて。



リリ嬢は凄く真っ直ぐな綺麗な瞳で受け取ってくれた。




ふぅ……。



これで王子の髪の毛も元通……



















りーーーーーーーーーーーっ!!??




戦闘が続く中、リリ嬢はその受け取った髪の毛を、何を思ったか空中へと放り投げた。




おおぅっっ!!



太陽の光を浴びてキラキラ輝く真紅の髪の毛。



綺麗じゃないかっ!!




感動……って、違ーーーーーーーーーーーうっ!!



リリ嬢、一体何を!?




「リリ……??」




そんなリリ嬢の奇行に、一早く気付いたのは王子で。




そりゃあ反応するよね。



自分の髪の毛だし……。





王子の問いに答えず、リリ嬢は片手を敵に突き出すと




















「ファイアッ!!」





炎の魔法をブッ放した!!















「王子ーーっ!!」





つい叫んだ。




「ハァッ!?」




おおっ!!


そだった!!


こっちが本物だった!!




すんごい顔で睨んでくる王子から目を逸らしつつ、リリ嬢を見れば





「よく燃えると思って」




めっちゃ真顔でそんなことを言うリリ嬢。




……リリ嬢。



リリ嬢だけは敵にまわすまい。




そう心に誓うマツリなのであったーーーーーーーー。




リリ嬢の魔法の威力か、王子の髪の毛の威力?か戦闘はその一撃で終わりをむかえた。

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