第25話

名はリャート・グラディオン。



キャンプファイヤーの炎みたいに真っ赤な髪。



少々ツリ上がった瞳で、王子にしては悪党面。




どうした?


正統派王子だろう、貴様。



正統派なのに、悪党面って、どうした、貴様。




制作会社にケンカでも売ったのか?




いや、あたしは好きだぞ?


なかなかの好みだぞ?




甘いマスクより、好物だ。



だから従者に少し邪険にされたくらいで、ヘコたれるな。




のの字を地面に書き出した王子を放って、その従者があたしの前へ。





「あんた」



「あんたではない。我が名はマツリ。よろしくリリ嬢」



「「「「!!??」」」」




のの字を書いていた王子。


インテリ眼鏡。


ゴリラ。


そして、男装の美女が一斉にこっちを見る。




「ななななな……な!?」




怖っ!!



さすがに四人に睨まれるのは、怖いわっ!!




「リリが女だって、見抜いたぞ、コイツ!!」




まだコイツ言うか、王子よ。



てか、見抜いてはいない、知っているだけだ。




「しかも名前まで……」




クイッと眼鏡の縁を押し上げるインテリ眼鏡。


下手すれば、こっちの方が王子みたいな容姿だ。



銀髪に青い瞳という。



因みに王子は紫の瞳だ。




名は……




「あんたのことも知ってるよ、ゾイド」



「!!??」



「へぇ……。何者だ?嬢ちゃん」




笑ってるけど、目は笑ってないゴリラ。



まさしく王子を守る戦士。




「あたしが何者かって?ガラ」



「俺の名まで……」




ちょっと格好つけてみたけどっっ。



"この世界"だと、あたしは何者なわけ!?




何者!?




「職業は??」




男装金髪美女、リリ嬢に聞かれる。




…………。




「「「「…………」」」」




職業!!??



え、何コレ!?












職質!!??



職質された!!??



ん??

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