落とされた6月
第1話
出会いは
6月に入った第1週の土曜日。
ミーンとかリーンとか。
夜になると虫が鳴き出す季節。
夜風が気持ち良い日だった。
そのライブハウスは海に近い場所にあった。
外観はいかにも怪しい古いビル。
真っ黒な夜空に溶け込むように、空気を震わすような音楽が今にもそのハコから飛び出してきそうに漏れ聞こえる。
専門学校の同級生に連れられて、その鉄筋の厳つい扉を押し開いた私は、初めて触れるその怖いような雰囲気と耳を塞ぎたくなるような爆音に目を白黒させていた。
「あ、見てマナ!!あれがマナに聴かせたかった人達だよ!」
ステージの照明が暗く青くなる。
私の目がそれを認識した瞬間。
「『risk Taker』!」
一瞬で明るくなったステージに立つ2人の男。
1人は肩からギターをぶら下げて、
もう1人は…
その声は歌声と言うには激しすぎて
音楽と言うには傲慢で
髪を振り乱し歌う男は、神様が全てを与えたかのような美しさ。
そこは一つの世界だった。
私の知らない、小さなハコの小宇宙。
魅せられる
そんな言葉が頭を過った。
そして私は落ちた。
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