第3話

【カランカラーン】




ドアベルの音だけが、店内に響いていた。









もう影虎の姿はない。









うちは立ちつきしたまま、店の入り口を見ていた。










影虎は、うちに決断を迫った。







でも・・・・うちはどうすればいいんやろ?








未音の事も、うちの事もすべて話す時がいつか来る。







それが早まっただけ。








分かってる・・・・分かってるけど。









怖い・・・影虎に嫌われんのが怖い。










翔に、話を聞いたと言う事は、未音の事も過去の事も知ったと言う事。






だから、うちから話を聞いてもきっと驚かへんのやと思う。







でも、口にするんが怖い。






未音が死んだのはうちのせい。






うちに心臓をくれる為の、未音は自ら命を絶った。





その事実を、影虎が知ったら・・・・。






愛していた女の命を奪ったのがうちやと知ったら・・・・・。








翔はきっと、そこまで話してない。







未音の影虎への手紙に何が書いてあったのかも、うちは知らん。






自殺の理由は書いてないと思う。






未音はうちの為の死ぬなんて事を書くような子やないから・・・。






きっと影虎は真実を知らん。







未音はうちのせいやないって、手紙に書いてたけど。






うちの発作が起こった日に、未音が自殺したんは間違いない。






うちを助ける為の、未音はきっと・・・・。






本当の事を伝える勇気、うちはあるんかな?









ううん、命をくれた未音の為にうちは真実を伝えなあかん。








覚悟決めろ!三枝木紫音。







あんたは弱虫やないやろ!







影虎は、正面からぶつかってくれようとしてる。







うちもそれに答えなあかん。







影虎は今でも未音を愛してる。





そんな気がする。








もし・・・もしも・・・・。




『お前の方が死ねばよかった。』



そう言われたら、うちは・・・・。










どうするんやろうか・・・・?

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