第27話 食事という難題

僕にとって、食事は日常生活の中で一つの大きな課題だ。苦手な食べ物があまりにも多いからだ。海鮮、野菜、きのこ、貝類、カニ、挙げればキリがない。一度はどれも口にしたことがあるけれど、その食感や味に敏感すぎて、どうしても受け付けられないものが多い。


食感が敏感だというのは、食べ物を口に入れた瞬間、その質感が強く伝わってくることだ。野菜のシャキシャキ感や、貝類の独特なヌルっとした感触、カニのしっとりした繊維質。これらが口の中に入ると、まるで自分の体がそれを異物として認識し、全力で拒否しようとしているかのように感じる。


食べられないものが多いことで、栄養バランスが偏ってしまうことを避けるために、サプリメントを利用している。ビタミンやミネラル、鉄分など、必要な栄養素を少しでも補うために、毎日サプリを欠かさない。サプリのおかげで、多少は健康を保つことができているけれど、それでも本来の食事から得られる栄養とは違うのだろう。


人と食事に行くことが、僕にとってはとても難しい。みんなで食事を楽しむ場面で、自分が食べられるものがほとんどない時、どうしてもその場にいるのが辛くなる。メニューを見ても、選べるものが少なく、他の人が美味しそうに食べている料理を、自分だけ食べられないのは、寂しさや孤立感を感じる。


外食先で、自分の苦手な食材が入っている料理が出てくると、それだけで気持ちが沈んでしまうこともある。食べ物を残すのは良くないことだとわかっているけれど、無理に食べると吐き気がしてしまうこともある。人と一緒に食事を楽しむことが、僕にはとても難しいのだ。


子供の頃、給食は特に苦痛だった。学校では「全部食べなければならない」というルールがあり、苦手なものでも無理矢理食べさせられることが当たり前だった。食感や味に敏感な僕にとって、それはまるで拷問のような時間だった。


給食の時間になると、何が出てくるのかと恐怖に感じたことも多い。特に苦手な食材が出てくる日は、ただそれだけで朝から憂鬱だった。食べられないことを先生に伝えても、「わがままを言わずに食べなさい」と叱られるだけ。無理に食べさせられ、吐き気を堪えながら何とか口に運んでも、体が受け付けずに戻してしまうこともあった。


今でもその記憶は鮮明だ。自分の体が反応してしまう食べ物を、無理に食べなければならなかったあの時間。それが原因で、食事そのものが怖くなってしまったこともある。だから、今でも食事をする時には、その食材が自分に合うかどうかを常に考えてしまう。


「好き嫌いが多い」「もっといろんなものを食べられるようにならないと」と言われることもある。その言葉を聞くたび、「自分は普通じゃないのかな」と感じることがある。もちろん、自分でもいろいろなものを食べられるようになりたいと思うけれど、それが簡単にできるわけではないのだ。


味に少しでも違和感を感じると、体が反射的に拒絶してしまう。口の中に広がるその味が、まるで異物のように感じられ、体が一瞬で「無理だ」と判断してしまう。その時、僕は自分の意思とは関係なく、体が勝手に反応してしまうことをどうしようもなく感じる。


でも、だからと言って、食事を避け続けるわけにもいかない。日常生活の中で、食べることは必要な行為だし、栄養を取らなければ体はもたない。少しずつでも、自分が食べられるものを増やしていく努力をしている。新しい食材を少しだけ試してみたり、調理方法を工夫してみたり。少しでも自分に合う方法を見つけたいと思っている。


食事が難しいということは、人と一緒に楽しむことが難しいということでもある。友人や家族との食事の時間が、僕にとってはプレッシャーになることもある。みんなで楽しそうに食べている中、自分だけが食べられないものを目の前にしていると、孤独感が強くなる。


それでも、食事を楽しむ方法を見つけたいと思う。自分が食べられる範囲で、少しずつ新しいことに挑戦しながら、無理せずに自分のペースで進んでいくことが大切だと感じている。食事は生きるために欠かせないものだからこそ、少しずつでも自分に合った方法を見つけ、楽しむことができたらと思う。


これからも、自分の体と相談しながら、食事という難題に向き合っていきたい。少しずつ、自分が食べられるものを増やし、いつか人と一緒に食事を楽しめるようになれたら、それは僕にとって大きな一歩になるだろう。

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