第26話

「ねぇ、祐樹?」




広い浴槽の中で祐樹の胸に寄りかかるように座りながら頭だけ後ろに向けた。




「ああ?」




濡れた前髪を後ろに撫でつけた祐樹が気持ちよさそうに閉じていた両目をうっすらと開けてこちらを見た。




「祐樹って昔、有名だったの?」




そう聞いた瞬間、祐樹の両目がバッチリ開いた。

焦っているようなその反応に、少し楽しい気分になってくる。




祐樹が焦るのは珍しい。




「なんだ、いきなり。なんでそんなことを聞く?」

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