第33話

お礼を言ってタクシーを降り、運転手が指差した店に近寄る




BLUE MOON




扉の横に綺麗に光る店名を確認した後、ポケットから携帯を取り出し、亮太兄に電話する。




3回音がした後、亮太兄が電話に出た。




「着いたよ~」



『マジ!?今から外行く』




電話を切りしばらくすると、キッチリめかし込んだ亮太兄が早足で出てきた。




「はい。時計」



亮太兄に時計を差し出す。



「イズミ!マジありがとな。助かったよ」



感激している亮太兄にはわるいけど、近くに通りかかる夜の住人達の驚いている反応を見て、あたしがここにいるのは良い事じゃない気がした。

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