第26話

「……何があったの?」



「……」



「…言いたくないの?」



その言葉に頷くと、トモが向かいの席から隣に移動してきた。




キツく握られたあたしの手に優しく触れる。




「……わかった。もう聞かない。…でも大丈夫なの?イズミ無理してない?」




「…大丈夫だよ。言えなくてごめんね…」



「いいよ。じゃあ当分は東京にいるつもり?」



「うん。今は亮太兄のマンションに転がり込んでる」




手から伝わる温もりが、弱くなっている心に染みる。

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