第6話

少しの間のあと、頭の上の方からため息が聞こえた。




「…ごめんね、亮太兄。あたし迷惑だよね…」




突然家に転がりこんで、毎日うなされてるんだもんね…

亮太兄もうんざりしてるだろうな…




顔を上げないあたしの頭を撫でながら、亮太兄が口を開いた。




「迷惑なんて思ってない。いつまでもここにいてくれていいんだ。…ただ、お前が心配なんだ」




亮太兄の優しさに泣きそうになりながら顔を上げた。




「ごめんね。心配かけて…」



優しすぎる言葉に、自分に対する不甲斐なさに目尻に涙が浮かぶ。




「いいさ。まあ、しばらく東京で暮らせば、忙しくて嫌な事も忘れられるかもしれないしな」




そう言うと立ち上がって口を開いた。



その言葉に、



そうか、今あたし東京にいるのか。



ぼんやりと思った。

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