第14話

結局病状は、酷い風邪ではないかとの事。


一応念のため、頭やなんかの精密検査や採血など…と、いろいろやって、夕方には退院することができた。

結果は数日後に出るという。


ほぼ一日かかった検査が終わり、家に着いたのは17時過ぎだった。


家に着くなり、病院では使えなかった携帯を取り出して、すぐに光希にLINEした。



   『心配かけてごめんね!』

   『退院したし、もう元気だよ』

   『昨日は記念日を祝えなくて…ゴメン』



すぐに既読になり、数分して返信が来た。



『仕方ないよ』

『気にするなって』

『もう家にいるの?行っていい?』



この距離だし、確かに逢った方が早いかもしれないね。



   『いいよー』



さすが近所。送信してわずか5分後に、光希は来た。



「おー紗織、やっと目覚めたか。退院したとはいえ、さすがに顔色悪いな。大丈夫?」


「まだ本調子じゃないけど大丈夫。まぁ一昨日から今朝まで倒れてたから…ね。あ、光希、昨日は記念日を祝えなくてごめんね。…あと、ずっと付き添っててくれてたんだってね。ありがとね」


「いいよいいよ。日ごろの小憎らしい紗織からは想像できない、かわいい寝顔をたっぷりと見れたしさ」


「…なによー。一言多いしっ!」


「はは!ごめん!あ、でもなにげに記念日は目一杯…24時間一緒にいたって事になるな。記念日以外でも24時間なんて一緒にいたことなくね?」


「まぁ確かにそうだけど…、私はちっとも覚えてないんですけどー」



一緒にいたのを覚えていないのは事実。

だからすっごく悔しくて、ちょっぴり拗ねてはみたけれど。


…本当はね、少し嬉しかったんだよ。

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