第11話

2029年10月6日。


いよいよ二年記念日を明日に控えた日…という以外は、いつもと変わらない土曜日。

ただ、こんな大事なイベントを控えている時なのに、微妙に体調を崩してしまっていた。

熱は平熱よりも少し高めで、めまいがして頭も痛い。


でも、なんとか無理できそうなくらいの体調だったから、みんなに迷惑をかけないようにとバイトには行くことにしたんだ。



ちょっぴり体調不良ながらも、いつもと同じように無事にバイトを終え、バイト仲間と楽しくおしゃべり。

そうこうしているうちに、上がってから約一時間が経っていた。


楽しい話はまだまだ続きそうだけど、22時になり、高校生達は帰らなければいけない時間になった。

いいタイミングかなと思い、私もみんなと一緒に帰る事にした。



「あ、じゃぁ私もそろそろ帰りますね。またねー!お疲れ様でーす!」


「はぁい、お疲れ様!気をつけてねー!」



もう何度となく繰り返されたこの挨拶と、この場面。

だけど、今日はいつもと違っていた。


帰り際、私は先輩に呼び止められて振り返る。


「あ、待って!森山さん、なんか急に顔色悪くなったような気がするんだけど…大丈夫?」


「あー、なんか昨日から風邪気味なんですよ。まぁ明日は大事な日ですから、今夜はちゃんと早めに寝ます。大丈夫で……」



大丈夫ですと言い終わる前に、頭痛とめまいは突然激しさを増し…

視点を定めることが出来なくなり…立っていられなくなってしまった…。



「…!森山さんっ!!」



先輩に支えられながらも、座り込むことすらできずに崩れ落ちる。

…何が起こったのか…訳の分からないまま、いつの間にか気を失い…


私は救急車で病院へと搬送された。

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