卒業パーティーの夜のぶっちゃけ告白

 卒業パーティーでは同学や老師とも写真を撮って翌日帰国することを忘れるかのようにはしゃいだ。


 チャイナドレスは男心をくすぐるようで、男子たちは、


「大学にも着てきてよ」


 なんて言って何枚も写真を撮っていた。 


 

 パーティー会場から帰ってくると、私と毬絵は荷造りに精を出した。行った先々で買ったお土産が結構な量になっていてトランクにつめるのに一苦労。荷造りが終わったら、高宮の部屋に集合することになっていた。



 高宮の部屋に毬絵と行くと、すでに他の六人は来ていた。私たちはすっかり飲みなれた青島ビールや白酒を飲み交わしながら留学中の思い出話に花を咲かせた。 


 私は思いのほか酒に強いらしい。他の女子は寝てしまい、顔を真っ赤にした高宮と、酔っているのか分からない森田さんの三人が0時を回っても起きていた。



「ぶっちゃけ話しない?」



 酔った高宮が言い出し、私はぬるくなったビールを飲みながら、


「何をぶっちゃけるの?」


 と気のない返事をした。


「このメンバーの中で、誰が好きだったか」


 高宮の言葉に私はビールを吹きそうになった。森田さんの前でそれを暴露しろと言うのか。


「じゃあ、誰から言うかじゃんけん」

「やだよ」


 私はしぶり、森田さんは何も言わずに白酒を飲んでいた。


「いいじゃん。最後の日なんだから」


 半ば強制的にさせられたじゃんけんで負けたのは私だった。


「花咲、はい、誰?」


 私はなかなか言葉を発することができなかった。眠ってる山田さんか村上さんどちらかの名前を言えば逃れられる。でも森田さんには誤解される。口が乾き、私はビールを飲んだ。


 高宮だけでなく、森田さんも私を見つめていた。私は今度は白酒を一口飲んだ。かあっと喉が熱くなる。私は開き直り、



「森田さんが好きでした!」



 と正直に言った。


 訪れたのは沈黙だった。


 私は森田さんの顔を見た。僅かに頬を赤くした森田さんは、突然立つと部屋を出て行ってしまった。


「え?」


 取り残された私はその意味を理解するまでに数分を要した。


 ああ。そういうことか。森田さんは私のことをそういう対象で見てなかったんだ。でも、ちゃんとした返事聞きたかったな。


 私は涙を堪えて、高宮を睨んだ。


「えーっと、ごめん。まさかこんなことになるとは……」


 高宮は笑顔を引きつらせる。


「ちなみに俺は……」

「毬絵でしょ?」

「え? なんで?」

「バレバレだよ」

「マジか。でも二番目は花咲だよ」

「嬉しくない」

「ま、飲もう!」


 私はヤケ酒を飲み、高宮はそれに付き合っていたが、潰れて寝てしまった。一人残された私。森田さんは戻ってこなかった。


 一夏の恋の思い出はひりひりと痛くて辛いものとなった。

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