第6話
「高血圧以外大丈夫です。熱中症になった直後で介抱したので手遅れにならずにすみましたね」
実ノ里は医者とクローブを交互に見て、不安そうに、
「あの、私、生活保護なんです。ここ、生活保護対応ですか?」
クローブが申し訳なさそうに実ノ里の鞄から見つけた生活保護診療依頼証とおくすり手帳を返しながら、
「すみません、治療情報がないかお荷物勝手に開けました。
結論から言えば、生活保護対応ではないのですが、今回は100%俺の過失ですから、ウチで最後まで診させていただきます。市役所にもお話してあります」
「あ、ありがとうございます……」
実は市役所どころではなく、実ノ里を追い回して倒れさせ拉致しようとしたところを通行人に通報され、警察にまで話が行っている。
幸い、ここが医療機関登録してあったのでここへ運ぶことで落としどころをつけられたが、二人組のお巡りさんはよくやってくる。
「一日で意識が戻って良かったです」
クローブの言葉に、実ノ里はハッとし、
「トマトさん!!」
「トマト……?」
「トマトさんが死んじゃう! クローバーも枯れちゃう!」
「ああ、お部屋で育てているんですね。分かりました。
これから俺が行って水やってきます。鍵をお借りしても?」
「はい! ありがとうございます!
トマトさん寂しがり屋なので……」
不安げな実ノ里に笑顔を向け、クローブはキーケースを実ノ里の鞄から出して預かると退出した。
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