第3話

慣れた調子でスカートを纏めながら車の後部座席に乗ったクローブは、自分の秘書の原田にニコニコと報告する。


 年上のかわいい娘。

 きっと運命の人。

 彼女をミノリ・オブライアンにする。

 あ、でも夫婦別姓がいいかな?


 原田は、心中で(またか……)と溜息をついた。

 精通が来て1カ月後には【初体験】し、以来婦女子を毒牙にかけてきた男――それが自分の【坊ちゃま】の正体だ。

 ここはそのミノリという女性が被害に遭わないように阻止すべきだろう。


アイドリングストップで、社内に冷房は入っていない。日陰の駐車場で窓を開け、彼女が来るまで待つという【坊ちゃま】を、原田は冷めた目で見ていた。

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