第30話
「僕じゃ君たちに勝てない。それは充分わかってるよ。
だから、僕は君たちと戦おうとは思ってない」
無言の二人に向かって、セイズは一人、言葉を続ける。
「問題は、君たちが僕と戦おうと思ってるかどうかだ。けど……」
セイズは、ティーンとガーネットを順に指し、
「僕と戦えば、君たちもそれなりに消耗するし、当然呪法の応酬になるから、僕の仲間も不審に思ってやって来る。
そこで、君たちの選択肢は二つ」
まず、指を一本立て、セイズは続ける。
「ここで僕を倒し、消耗した上で僕の仲間たちと戦う。これが一つめ」
次に、指をもう一本立て、
「もう一つは、僕に案内されて僕の仲間たちの所へ行く。これなら、戦力の浪費は無しで僕の仲間たちや……勿論隊長にも会える。
……どっちにする?」
どうやら、『隊長』というのが、彼らの中での『禁忌』の呼び名らしい。
「その三。あんただけ倒してとっとと逃げる」
「……二つ目だ」
ガーネットの入れた茶々を無視し、ティーンが答える。
「……決まりだね。ついておいで」
言うと、セイズは二人に背を向け、歩きだした。
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