第28話
「勝てるのか? おい、勝てるんだろうな?」
翌日の夜。雨音の響く中、揃って出発の準備をするティーンとガーネットに、ザストゥは上擦った声で問いかけていた。
「実を言うとねー」
ガーネットが、昨夜帰ってきたばかりのスペサルタイトを撫でながら、明るく言う。
「ティーンでも何やっても絶対に勝てそうにないのが、一人ほどいたりするの♪」
「何でそんなに明るく敗北宣言できるんだ? お前は!」
「――敗れるとは限らない」
ザストゥの裏返った声に、いつになく鋭い声で答えたのは、ティーンだった。
抜き放った剣に、自分の顔を映しつつ、
「少なくとも、奴の思い通りにさせるつもりはない」
硬く、宣言するように言う。
「……じゃ、行こうか、ティーン。セイズも近づいて来てるし」
「……ああ」
屋敷の扉を開けると、昏い空から降りしきる雨粒と、それが地面に触れ潰れる様だけが見えた。
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