第26話
人気のない所――と言えば、彼女が昨夜も利用した裏庭だった。普段なら、警備員が何人かうろついている筈なのだが……昨日ティーンが倒してくれたお陰で誰もいない。
その裏庭に、彼女――ガーネットは佇んでいた。瞳を閉じ、意識を集中させる。
――スペサルタイト
――スペサルタイト
彼女の意識に自分の意識を同調させつつ、呼びかける。
何度か呼びかけるうちに――
――聞こえるわ。ガーネット。
意識の中に、声が響いてきた。接触に成功したらしい。
――イリアは警戒しながら現状を維持するように……
――それは後でいいから!
スペサルタイトの声を遮り、ガーネットは言う。
――緊急事態よ。そっちに、ホーセルの粉末とレズラの実はない?
――ちょっと、それって……
――いいから早く! イリアに聞いて!
暫し、声が途切れ――やがて再び聞こえてくる。
――両方あるって。
――じゃあ、それ持って、大至急戻って来て。大至急よ。
――何があったの?
――何でか知らないけど、リーゼがカイアスズリア持ってるのよ!
――分かった。急いで戻るわ。
深刻な声を最後に、交信は途切れた。
ガーネットは、嘆息し、
「あー、頭痛い」
昨夜も言ったその台詞を、また口にした。
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