第6話

戦技院と呪法院。共に、同盟各国にある王立、または国立の機関で、戦技士や呪法士の養成を行っている。そのレベルは各国様々だが、一つだけ共通していることがある。普通に入るならば、貴族か大商人の家柄でないと不可能だということである。戦技院・呪法院共に定められた学費は途方もなく高額で、庶民の出の者には到底払えないのだ。しかも、高額な学費を納めて入った富裕層の人間も、大抵は挫折する。国によってその程度は様々だが、押しなべて教育のレベルが高すぎるのである。普通なら数カ月、忍耐の強い者なら数年留まり、何の資格も得ることなく退学するか、どうにか最下級の第五位の資格を取って去って行くかである。


 つまり、結論を言えば、戦技院・呪法院は学費を納めて入ってくる者たちのための機関ではないのだ。両院が教育の対象として定めているのは、特待を取得してやって来る者たちである。


特待は、戦技院・呪法院のそれぞれの審査会で有望と――つまり、厳しい教育に耐えられると判断された者にのみ与えられるもので、これを得られれば、学費や寮費が一切免除され、かなり多めの生活費も支給される。両院は、このルートで入ってくる者たちのためのものなのである。


 生徒の数が少数なこともあり、平均して二人に一人の教官がつき、個人のレベルに合わせた教育が徹底して行われる。生徒がどのくらいの期間で院を去るかは、目指す階級や個人の能力により様々だが、最低でも一、二年は留まるのが普通である。



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