32・空気よんで……
第32話
「……」
教室で紅露が終わるのを小説読みながら待ってる。
「あれ?十夜さん」
「…んっ?」
クラスメイトの男子に声をかけられた。
「…
「うん」
「……そうなんだ…」
男子は鞄に教科書を入れながら私に話しかける。
私は話しかけられるから笑って答える。
「十夜さん、今度さ…」
「霞、お待たせ」
「紅露」
紅露が男子の会話を遮った。
「…鵤、お先〜」
「あぁ。じゃあな」
ピリッとした空気が一瞬教室を包んで寒気がしたけどそれはあっという間に私の方を向いて無くなった。
「霞、お待たせ。ごめんな、遅くなって」
「大丈夫よ。小説進んだから」
紅露が私の方に近付いて私は小説を机の中にしまい込み鞄を持って立ち上がった。
「さっきの男子と何を話していたんだ?」
「紅露を待ってるって…。何で?」
「そぅ。なら、いいんだ」
そう言って私の手を握り歩き出す。
私が何処にも行かない様にキツく握りしめてる。
「紅露?どうかしたの?」
「
そう言って廊下で立ち止まった。
「俺の
「…さっきの事?」
さっき私が男子と話していたからコレもヤキモチ妬いてくれてるの?
私達、
そんな事なのに
紅露の言葉をもう一度考えて行き着いた。
「大丈夫だよ。私は紅露のものだから」
心を殺して作り笑いをする。
心が痛んだってそんな事は公爵令嬢として殿下の妃候補として作れるわ。
「無理して笑うなって言ってる」
「…無理なんかしてないわよ?」
紅露が私の頬を触りながら悲しそうに笑う。
「そんな顔させたい訳じゃない」
「紅露?」
紅露の手が私の頬を離れたからその寂しさから慌てて今度は自分から紅露の手を握り私の頬にくっつけた。
「紅露の手、温かい。心がフワって躍るの」
「霞…」
紅露の手がこんなに安心するなんてまだ何日も経ってないけど心を許しちゃった負けの弱み。
「それなら心まで温めてやらないとな」
「うん?それって…」
言葉が続く前に紅露の顔がゆっくり降ってくる。
「霞…リリナーア…」
「紅…」
ドキンッと心臓が高鳴り婚前前だからこれ以上はご法度じゃないの?
でも…
「いやーん。紅露、見つけた〜」
「!?」
私の視界に紅露の後ろから両手が回って来た。
「一緒に帰ろう〜って!アンタ居たのっ!?」
「…最初から居ます」
茜さんと目が合って紅露と良い雰囲気を邪魔された。
茜さん、空気よんで……
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