31・二人きりで…初頬にキスを…

第31話

「リリナーア今日遅くなるけど待ってろよ?」

「…生徒会の仕事?」

「あぁっ。話し合いらしいんだ」


生徒会がある事を教えてもらって紅露は一番偉い生徒会長らしい。


本当は、私とゆったりのんびりご飯を食べてる場合じゃない位忙しいのにお昼休憩は一緒に食べてくれる事に嬉しい。


一人だとどう過ごして良いか分からないんだもん。


「リリナーア…」

「んっ?」


紅露に呼ばれて見たら目がバッチリと合って妖艶な目つきの紅露の視線に外せなくなった。


何処でこんな雰囲気になったの?


何処かに落ちていたかしら?


「…リリナーアがいい?霞がいい?」

「……リリナーアがいい…かな…」


紅露の質問に緊張しながら答える。


“そう”って笑って名前を呼びながらゆっくり唇が頬に迫る。


私の名前を呼びながら私が怖がらない様にしてくれる。


「リリナーア…」

「……っ」


私の心臓はバクバクのドキドキ!!


初めて紅露が私の頬にキスをしてくれた。


紅露の匂いが私を包み込む。


「可愛いね。リリナーア。俺のリリナーア」

「……っ」


本当に私を彼女として接してくれているならこの胸の中に飛び込みたいのに違う。


私達は“契約恋愛”してるだけ。


「紅露っ!これ以上は私の心臓が持たないっ」

「まだ先に進みたいから黙って」


紅露の唇が少し離れて違う場所にキスをして首筋に唇が近付いて来て堪らなくなって阻止した。


「紅露!もうギブッ!!」

「あはは。残念っ〜」


残念そうな顔をした?気がするでもないけど楽しそうに笑った。


「リリナーアの反応可愛かったよ」

「もぉっ〜!!」


恥ずかしくってドキドキバクバクしてたんだからね!って怒った顔をして紅露を睨んだ。


「可愛い。リリナーア」

「紅露!」


私の行動…可愛いに変換されてしまってる。


「そろそろ休憩終わりだな」

「助かった……」


お弁当を持ちながら立ちあがろうとしたらまた後ろから抱きしめられた。


「紅露?」

「俺はまだ二人きりでいたいからもう少し」

「……」


紅露のこの甘え方が好き。


紅露を一人占めしてるみたいで本当の彼女・・になったみたいで。


「あと5分だからね」

「時間には厳しいよな。リリナーアは」

「紅露がルーズなのよ。キッチリとしなくちゃ!」


腰に紅露の手が回って背中に紅露の顔が埋まっていてこれはなんとか慣れたけどまだ前で抱きしめ合うのはハードルが高いな…って思った。


「……!」


でも、私…無意識に紅露を前から抱きしめていたんだよね…。


気をつけなくちゃ!


気持ちが溢れちゃうと前から抱きしめたくなる…って事?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る