26・お互いの趣味
第26話
「じゃあ、行くか。霞」
「あっ!うん!」
紅露さんと手を繋いで売ってる店に向かった。
手芸屋さんに来て心が踊った。
興味を引く物が沢山ありワクワクしてる。
紅露さんと店内を周り刺繍糸を探して立ち止まった。
色々な色の糸が沢山扱っていて心が躍る。
「何を作るんだ?」
「うー…ん。まだ決まって…」
刺繍にするモチーフがまだ決まってなかったけど紅露さんに訊ねられて決まった。
紅露さんに今もこれからもきっと迷惑かけると思うから精一杯の恩返しじゃないけどプレゼントしたい。
「決まった顔だな」
「うん!後は色選び」
どの色が紅露さんに似合うか…選んでる時でもウキウキして心が踊る。
「ふふっ。どの色が似合うかな…」
思い浮かぶのは殿下でなく紅露さんで一杯になってる事。
「…ロイアン殿下にも作った事はあるのか?」
「ロイアン殿下?」
刺繍糸を選びながら質問に答えていた。
「殿下には贈った事はないですね」
この色だっ!って思いながら手に入れて行く。
「男は俺が初めて?」
「そうなりますね」
そう答えてから慌てて刺繍糸を選んでる手を止めて紅露さんを見た。
「紅露っ?!私変な事言ってなかった?」
「変な事?何も言ってないよ。いい情報が聞けた」
「!!」
紅露さんが嬉しそうに笑ってるから変な事を言った訳ではない…と分かるけど無意識に答えてしまった言葉は思い出せない。
「この色合いにする。この色ならピッタリだと思うもの…」
「そう。じゃあ、会計していくか」
糸、刺繍布、針、刺繍枠を購入してそれを大事に鞄に入れて家に向かって行く。
「リリナーアは刺繍が好きなんだね」
「刺繍をやってると無心になれて好きなんです」
鞄を見つめながらそう答えたら紅露が再び手を握って来た。
「そっか。リリナーアの趣味なんだね」
「紅露の趣味は何ですか?」
「俺の趣味?」
紅露の趣味を知りたかったから聞いたのに携帯を取り出して向けた。
「これが俺の趣味」
「紅露っ!?」
カシャと音がまた鳴って撮られた。
「霞=リリナーアを撮るのが俺の趣味」
「趣味にしないで!」
あははって笑う紅露さん。
「リリナーア?どうかした?」
「何でもない。紅露の趣味に呆れて言葉が出ないだけ」
「リリナーアなら歓迎すると思ったのに…」
「しません!私を撮ったってなんの意味もないのに…」
「意味はあるよ。その瞬間を
カッコいい言葉を並べてドヤってるけど軽くドン引き。
でもカッコいいと思うのはこの気持ちが分かってるからなんだよね…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます