第29話

私の言葉に右隣に座る彼が自分を見てることに気づく。

「あ、ごめん……、」

滝川君には今後言葉を選ばないといけないと思った。


「別に謝らなくてもいいよ。それが月島さんの本心なんでしょ?」

「う、うん。滝川君もこの学校で大変なんだなって……、」

「あ、分かってくれる?月島さんとはまた別の意味で僕は憂鬱な毎日を送ってるんだよね。」

そう言って彼は俯く。

「ほおっておいて欲しいだけ。無駄な気を使いたくない。もっと自由が欲しい。」


滝川君から出る言葉をただ私は聞くしかできなかった。


だから彼の背中に少しだけ触れて離した。

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