第27話

『そこに突っかかる時間はないと思うぜ?どうせ、あんたそこ行くんだろ?』


みやびに図星をつかれた私は、ぐうっと言葉を飲み込むと、それを肯定と捉えたのか、ケラケラ愉しそうな声が届いてくる。



『結構楽しい状況に感謝しろよ』


『最悪な間違いでしょ』


『ふはっ! 』


この状況など、あんたのその笑い声も含めてこの上なく最悪すぎる。


こいつの楽しい価値観が分からない



『キングや祠堂達が、代替のお姫様にどうしてやるのか見物だな。…まぁ、アイツらがお前を助けに行けれたらの話だけど』


『そーゆうの、求めてない』


奈々の代わりがこんな女で果てしなくめんどくさいだろう。


いらぬ心配と、余計な世話をさせるつもりなどない。


『せいぜい喰われないことだな』


激励の言葉のつもりなのか。


そんな言葉を残して、奴は一方的にこと通話を切った。



無機質な機械音に切り替わった事を確認した後、

座っていたソファから立ち上がる。



そして着ていたシャツの上にパーカーを羽織り、

バイクのキーを手に取ればそのまま私は部屋から飛び出した。

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