066.

第4話

[泉、早く。じゃないと俺の気が変わる]


行きたくない、と彼の口から素直に出なかったその言葉と、

助けて欲しいと語る背中は、振り返ることもせず、

私たちの元から去って行った。



ダウトに拉致られたNiGHTSの面子の安全と引き換えに自分の身を差し出したのは波玖で、


そのダウトのNO.2の幼馴染と共に…、


それは数分前の出来事だった。



「いいか、よく聞け」



静まり返ったその空間に刃物を突き刺すようにして、藍のテノールボイスが響く。



「藍ちゃ…」


「陽向、お前は何人か連れてユータの所へ行け。次いでに何人かまた寄越すとも伝えとけ」


「ちょっと、待って。藍ちゃん、「…陽向、行ってくれるか?」


状況に追いつかない陽向を無視し、

敵から呑気だと言われる藍は吃驚するくらい冷静に指示を仰いでく。


「…行く、けど…でも、これじゃあ納得いかないよ」

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