第30話

「愁、」


「リナとせっかくの日にこんな話良くねぇよな」


大雑把に優しく私の頭を愁は撫でる。



その優しさに、どうにか縋りたくなってしまう。


どこかで、色々なことから逃げて逃げたくて仕方ない自分がいるのは分かってる。


その度に、愁がどうにか逃げなくてもいいように楽な道をこうして作ってくれてるのも分かってる。




なんのために、高校に通い出したのか、もう一度私は考えなければいけない、


藍達とダウトの抗争に巻き込まれたら高校所でもなくなるかもしれない、怪我などしたらどうする、


あの人たちやアイツと誓ったあの約束が果たせなくなる


愁はそれが言いたかったのかもしれない。



それでも…今は、自己中で強引な奴らの行く末は見届けたいと思ってしまう。



愁の言う通り、私はなにか変わったのか。





「行くぞ、りな」


何事もなかったかのように切り替える愁に追うようにして、そんな事を考えながら私も車から出た。

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