第29話

「前に言ったよな、もしリナになにかあった時はガキ共を容赦なく殺すって」


「別になにもなってない」


「はー…、俺は先のこと言ってんだ」


愁のそれは、義兄だからの気持ちで心配してれてるんだろうけど


そこまで愁が自己犠牲しなくてもいい事なんだ。


「俺はな、リナとアイツが交わる将来が潰れるものは容赦なく消してくつもりだぞ」


「……」


ハッ、と愁を見る。



交わらない視線。



愁は、私の肩越しの、この砂利道の先を見ている。



「いい、やめて。愁」


これから行く場所にいる存在の話をするのはやめて。


「それが守れねぇならお前の兄ちゃんになった意味がねぇよ」

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