第29話
「藍、てめぇ落ち着けや」
殺気を含んだ声が、
廊下中に響き渡る。
圧倒的存在感を放つうちのひとりの男が地を這うように目の前の男を威嚇する。
他色を絶対に許さないダークヘア、そこから覗かせる狂気が含まれた鋭い眼。この雰囲気が柔らかくなれば恐らく奴は女になんか困ることなんかないんだろう。纏う雰囲気全てが黒い中で光るのは、やつの耳に付けられている濃紅のピアス。
「あいつは、NO.2の祠堂椿(しどうつばき)」
NiGHTSのNO.2。
「喧嘩売ってんのか」
痺れるようなテノールボイス。
全身が震え上がるかと錯覚するほどに、一体どこからそんな声を出したのか。
ダークブラウンの無造作にセットされた澄んだ髪がサラッと風に揺れる。そこから覗かせる男の顔は、1度見たら忘れられなさそうな程に整ったものだった。
容姿端麗、という言葉はこの男ものだと言わんばかりの、少し離れたこの場所から見てる私でさえそう感じるほど。
少しだけへの字に曲げた色素の薄く含んだ口でさえ、この男の持つものだからなのか綺麗に映る。
NO.2同様、人1人殺せそうな程の威圧感と鋭い眼。
「そして、あれが噂のNO.1のキングだよ」
そう天音は周囲に気づかれないように、私の耳元でこっそりそう言う。
そんなコソコソしなくても、周囲はあの2人に集中してるだろうけど。
「はっ、愚問だな」
キングの発言をまるで馬鹿にするかのように挑発した、キングに負け劣らず綺麗な顔を持つ祠堂椿の発言。
それがスタート合図だったのか、、
2人は同時に地を蹴る。
目の前で繰り広げられる、
No.1キングとNo.2祠堂椿の喧嘩
血の気多すぎでしょうよ
「藍さん!椿さんもやめてくださいよ!」
「おい、亜貴さん達はまだ来ねぇのか?!」
自分たちのチームのNO.1とNO.2が喧嘩してんだ。
迫力に負けそうになりながらも面子達は、必死止めに入ろうとする。
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