第25話

この学校に来てはじめて見るに等しいまともに制服を着ている稜。

髪色は派手だが。

雰囲気や見かけによらず、優しい面もある様子。


「稜が女を庇うなんて珍しいじゃん」

「るせ」


天音にからかわれた稜の耳は僅かに赤みがかかっている。


「おい、お前」

天音と隣並びになるように半歩近づく稜は、完璧に私の目の前に立つ。

2人とも高身長のせいで、ベンチに座っている私は少し見上げなければいけない。


ジッと私に話しかける稜を見る。


「あんた、多分狙われる」


稜のひと言に、一瞬周囲の気温が下がった気がした。

突然言われたその言葉の意味に理解が出来ず、キュッと口を結び少しだけ眉を寄せる。


「誰に」

「全日制」

私の質問に被せるように言うのは天音。



「全日制…というか、NiGHTSのキングに」


NiGHTS(ナイツ)のキング


聞き慣れない言葉に私は首を傾ける。


「知りませんって顔も凄いそそる。可愛いね、里奈子」

越えた舌は、こいつなんか富浦亜貴と被る。

殴り飛ばすか…

「関東最大規模の連合軍」

出そうになった拳がピタリと止め、稜の次の言葉を待つ。


「NiGHTSは、そのNO.1だ」


私の反応が、全て分かっていると判断したのか、簡潔にその言葉だけで締め括る。

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