第24話

ふと、周りを見やれば。

あんなに騒がしかった声が全て消えていた。


その代わりに、先程より強く刺さる周りからの視線たち。




「あぁ、これね。俺たちが全日んとこまで来てるからなんじゃない?」

ヘラッと笑う天音には、どうやら私の思ってたことがお見通しだったらしい。

さっきから天音から発せられる全日ってワードには何処か他人事のような感じに聞こえて仕方ない。

「あとは、俺と天音が2人揃ってるからな」

これまた他人事のように周囲を見渡しながらそう言うのは稜。

なんの用で私に話しかけてるのかは知らないけど、

私の勘が間違っていなければ、この2人。


「どーいう意味」

「俺ら、定時制」


やっぱり。



やっぱり同じ学校と言えども、全日制と定時制では少し違う。


定時制の男に絡まれれば、それは目立つ事なんだろう。

この2人の独特な雰囲気なら尚更だ。


「ねぇ、里奈子」

私の名前を呼ぶ人はあまりいないため、その声に無意識に引っ張られてつい、「なに」と答えてしまう。



「富浦や祠堂に会ったことある?」


クイッと綺麗に微笑む天音。


意味深に、試すような質問。


どうでもいいからここは正直に答えてもいいだろう。



「祠堂、ってひとは知らない。富浦って人はクラスメイト。」


天音は富浦亜貴と知り合いなのか。

それにしては、冷たすぎる声。




「随分他人行儀なんだね。へーいいな、アンタ。面白い」

「おい。あんまからかうなよ、天音」

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